AIに本のタイトル用スペースを空けてもらう方法
画像生成モデルは、すべてのピクセルを見ごたえのある状態にするよう訓練されています。ところが本の表紙に必要なのは、その逆で、静かな領域が1か所ある、強弱のついた構成です。そのため、コツは「テキスト用のスペース」を頼むことではなく、上3分の1が自然に空いた画像を構成することです。空、霧、影は、衣装をまとったタイトル用スペースなのです。
モデルがすべてのピクセルを埋める理由
画像生成モデルはどれも、同じ評価基準で調整されています。人は密度が高く印象的なディテールを好む、という基準です。その好みを報酬にして数十億ステップ学習させると、何もない空間を「修正すべきミス」として扱うモデルができあがります。雲からは城が生え、影には顔が育ち、無地の壁には装飾が現れます。
「タイトル用のスペースを空けて」という指示が二重に失敗するのは、このためです。モデルにはタイトルという概念がないので、指示はノイズに溶けてしまいます。しかも「テキスト」という言葉は、最も恐れていたことを引き起こしがちです。きれいにしておきたかったまさにその場所に、偽物の崩れた文字を呼び出してしまうのです。
スペースは頼まず、構図で作る
うまくいく方法は、遠回しに伝えることです。被写体は画面の下3分の2に置き、上部を埋めるものを、何もない状態ではなく実在するものとして描写します。モデルは「無」を描けませんが、空、霧、影、静かな水面なら美しく描いてくれます。
- 悪い例:タイトル用のスペースを空ける → 良い例:画面の下にぽつんと立つ灯台、その上に広がる何もない灰色の空
- 悪い例:上部にcopy space → 良い例:部屋の上半分を飲み込む深い影
- 悪い例:negative space、ミニマル → 良い例:雪原を横切る小さな人影、画面の上部を満たす濃く白い霧
- 悪い例:上にテキスト用の余白 → 良い例:何もない地平線へと続く黒く静かな水面、星のない夜空
これらの「良い例」のフレーズはどれも、ほぼ均一な色調の静かな面を生み出します。まさにタイトルが必要とするものです。雰囲気は、そのままタイトル用のスペースになります。
上3分の1のルール
プロの手がける表紙が上3分の1を静かに保つのには、身も蓋もないほど現実的な理由があります。Amazonでは、本は高さ約160ピクセルのサムネイルで判断されます。このサイズで生き残るのは、力のある形が1つと、タイトルの2つだけ。両者が重なれば、どちらも埋もれてしまいます。
静かなゾーンを静かに保つ習慣は3つあります。縦長の2:3で生成して、トリミングで構図が削られないようにすること。被写体は1つにすること(2つ目のオブジェクトは、画面を「バランスさせよう」として上へ漂っていくため)。そして光源は1つにすること(2つ目の光が、当てにしていた影を埋めてしまうため)。
余白のない画像を救う
仕上がりは完璧なのに、上部がごちゃついていることもあります。手間の小さい順に、3つの対処法があります。
- 被写体を下寄りにトリミングして、上へ拡張する。被写体が下に来るようにフレームを組み直し、その上の空や影の続きを、拡張(アウトペインティング)ツールに描き足してもらいます。何もない空間を広げることは、こうしたツールが確実にこなせる数少ない作業です。
- 上部をグラデーションで暗くする。上3分の1にやわらかい黒や濃い色のグラデーションをかけると、文字の背景が安定し、継ぎはぎではなく意図的な夜に見えます。
- 構図のフレーズを変えて再生成する。何度も修正が必要になる画像なら、作り直すほうが安上がりです。新しい生成にかかるのは数秒ですが、悪い構図と格闘すると、ひと晩かかります。
タイトルは実際の文字として配置する
ここまでの工夫が報われるのがこの場面です。上3分の1が静かなら、タイトルは、アートに焼き込まれたピクセルではなく、編集できる生きた文字として載せられます。スペースに合わせてサイズを決められ、翻訳もでき、サムネイル向けにくっきり仕上げられます。
無料のPrintReadyCoversのスタジオは、この作業を自動で行います。表紙の内容を説明すると、タイトル用の余白があらかじめ確保された構図で画像を生成し、その上にジャンルに合ったディスプレイ書体でタイトルを配置します。このサイトのジャンル別プロンプト集にあるプロンプトは、ホラー、ファンタジーなどすべて、すでにこのルールに沿って書かれているので、静かなゾーンは標準で確保されます。
よくある質問
「copy space」や「negative space」というキーワードは、そもそも効果がありますか?
部分的には効果があります。「negative space」に対して、まばらな構図で応えるモデルもあるので、入れておく価値はありますが、それだけでは当てになりません。「上に広がる何もない空」のように、スペースを埋めるものを名指しする構図のフレーズは、意図ではなく画像を描写するため、どのモデルでも通用します。
静かなゾーンは上と下のどちらに置くべきですか?
ほとんどの場合は上です。読者がタイトルを期待する位置であり、Amazonのサムネイルでも切り取りの影響が最も小さい位置だからです。著者名用に、下にも小さめの静かな帯を残しておきます。文芸小説なら下にタイトルを置く手もありますが、うまくまとめるのは難しいレイアウトです。
タイトル用のスペースが本当に機能しているか、どうすれば確かめられますか?
完成した表紙を高さ約160ピクセルに縮小します。Amazonの検索結果での表示サイズです。そのうえで、タイトルがひと目で読めるかを確認します。このサイトの無料サムネイルツールなら、ブラウザー上でまさにそれを行えます。アップロードは不要です。
スペースは生成したあとで足すこともできますか?
可能ですが、トレードオフがあります。拡張なら空や影を上に自然に広げられますが、質感や色合いがずれることがあります。暗くするグラデーションは手早く、常に違和感なくなじみますが、画像の雰囲気が変わります。プロンプトの段階で構図を作ってスペースを確保するのが、今でも最もきれいな方法です。救済策は、捨てるには惜しいほどよくできた画像のためのものです。